COYAMA

築48年の印刷工場をセルフリノベーションし、本とコーヒーとアートを楽しめるお店をつくりました。

ブックでカフェという形態であること

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ブックカフェ   買いたくない

って組み合わせでまあまあ検索されてるんですよね。

新刊を置く際に悩んだ話です。

そりゃあ、誰も触ってない新品のものと誰かが飲食しながら読んだ本だったら

新品がいいに決まってますよね。

 

このお店の形態で始める際には「古本だけだし、いいか」という考えでした。

(現在扱わせてもらっているZINEはサンプルをいただいていたのでそれを置いてます。)

でもやっぱり、書店に行くと、新刊仕入れたい!という気持ちが強くなります。

古本も新刊もないと作ってみたいコーナーができないということも起こります。

そこで出てくる問題が「どういうルールで本を読んでいただくか」でした。

飲食と本を共にするお店ではそれぞれに答えを持っていることでしょうが

私はわたしなりに考え込みたかったので、自分のお店で答えを出してから色んな形態のお店に行って勉強しようと思っています。

 

さまざまな考えと気持ちがせめぎ合い、頭の中は賛成意見と反対意見が行ったり来たりしました。

お店としては単純に「気にする人は買わなければよいだけ」でも良いのかもしれません。(それを「本屋は覚悟している」と言ってる人がいて、カッケーと思った)

けどもし自分が本を作った時にそういう店に置きたいかといったら「うーん、どうだろう。チョットフクザツ。」と感じ、小さい店の小さいコーナーだけど、そこがお店の全部を表しているようで、めちゃくちゃ引っかかってしまいました。

そこからは頭の整理のためにノートに何度も同じ内容の図と文を書き出しました。

※大前提としてみなさんとても丁寧に扱ってお読みいただいています。

ただお店としての方針を決めておかない事には何かあったとき自分の中で対処ができないと思いこの文章をまとめています。

 

A:古本コーナーと新刊コーナーを分け、なおかつ新刊は飲食禁止

良い点|・本が汚れない

悪い点|・展開したい棚が作れない・期待していたサービスと違うと思われる

気持ち|・ベストな状態を届ける責任がある ・憂いがなくなる

 

これに対する案は

 

B:古本と新刊を自由に並べ、どれでも自由に読める

良い点|・展開したい棚が作れる

悪い点|・古本化する・新品購入したい層は買わない

気持ち|・通常の書店でも多少の傷や汚れはついている

 

これらを、

一番肝心な「中身(本の最大の価値)だけを得て、購入しない」というモヤモヤ感をプラスして天秤にかけると、やっぱりどの理由と比べてもずっしりと重く動かず、つまりAとなりました。  

 

もともとCOYAMAは「読書する空間」に特化したいわけではなく「ヒントを見つけてもらいたい、リフレッシュしてもらいたい」という気持ちがあり、COYAMAでのそのツールは本であり、ギャラリーでありました。

じゃあそれをするためにはゆっくりコーヒーを飲みながら鑑賞してもらおう。

気に入ったなら家にお迎えして生活のプラスにしてほしい。

 

ここからは展望です。

本当は新も古もごっちゃに置いて自由に読んでもらいたい。

その上で100%購入をしてくれるならBでもいいのだ。

でもそれはありえないことなので、Aになるわですよね。

しかしながら実際その条件でも本は売れていて、何故買ってくれたのか考えました。

※COYAMAでは古本価格のものと、古本でも定価(8%安い)のものがあり半々くらいで売れています。

1:汚れがない・汚れを気にしていない

2:古本であると承知している、少し安い

3:購入していない本を飲食しながら読むには抵抗がある

4:COYAMAを気に入ってくれた・わざわざ来たからには何か買っていきたい

でしょうか。

 

選書を除いてお店ができることは4を磨いていくこと。 

COYAMAで購入するということの価値をどれだけ作り上げられるかにかかっているかというのは、どれだけ「良い体験」をしてもらる準備ができるかということですね。

当然の最低限事項ではあるけど、同時に際限のない取り組みにもなるので

少しずつできる事を良い空間、良い体験に反映できればと思います。

そうしたら、Bにできる日がくるかもしれない。

 

少し逸れますが本の体験について、妄想もわわんな話。

 

電子書籍も簡単に販売できたらいいなのになと思います。

本屋も電子書籍仕入れる。そのツール開発なんて、もうされてそうですね。

実際、旅行本などではスマホにダウンロードして閲覧できるものがあって

めちゃくちゃ便利だなと感じました。

旅行に行く前には二人で一緒に話ながら見てわいわい言って、旅行に行く時にはダウンロードだからネットワークも気にせずさくさく。

映画のように「これは映画館で見た方がいい」「これはDVDを買おう」と同じように

この本はリアルブック、この本は電子書籍が適してる、という評価のされ方や売り方が一番消費者ファーストな気がします。

 

いつからかわかりませんが、美術館などの展示物で「体験型」がとても増えたように感じます。(そしてめちゃくちゃ並ぶのでいつも飛ばしてしまう)

モノにお金をかけるより、旅行などの体験を優先させたいという流れみたいですね。

本の「読む以外の体験」って何があるんだろうと考えた時に、工夫を凝らされた絵本が思い浮かびました。

中でも青幻舎のbigbookを知った時の衝撃はすごかったです。

小さいこどもにとっては、もうこれは、世界!世界なんだよな。本の世界に潜っていける、でもしっかり本。

大人サイズも出してほしいぜ。

なので新刊をスタートするときには絶対にこの本を置こうと決めていました。

 

長いこと逸れましたが、

まだまだ物量少ない小さな店ですが、こんな考えでもって選んでいきたいです。

でも、なんかあったらすぐ変えていくスタイルではあります。

 

おわり